ノベル日和に「人魚姫(人魚のひいさま ハンス・クリスティアン・アンデルセン作) 」を登録しました。あなたの知ってる人魚姫の物語と別の結末かもしれません。これが原点です。

人魚のひいさま DEN LILLE HAVFRUE ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 楠山正雄訳 1  はるか、沖合へでてみますと、海の水は、およそうつくしいやぐるまぎくの花びらのように青くて、あくまですきとおったガラスのように澄みきっています。でも、そこは、ふかいのなんのといって、どんなにながく綱《つな》をおろしても底にとどかないというくらいふかいのです。お寺の塔を、いったい、いくつかさねて積み上げたら、水の上までとどくというのでしょうか。そういうふかい海の底に、海のおとめたち――人魚のなかまは住んでいるのです。  ところで、海の底なんて、ただ、からからな砂地があるだけだろうと、そうきめてしまってはいけません。どうして、そこには、世にもめずらしい木や草がたくさんしげっていて、そのじくや葉のしなやかなことといったら、ほんのかすかに水がゆらいだのにも、いっしょにゆれて、まるで生きものがうごいているようです。ちいさいのも、おおきいのも、いろんなおさかなが、その枝と枝とのなかをつうい、つういとくぐりぬけて行くところは、地の上で、鳥たちが、空をとびまわるのとかわりはありません。この海の底をずっと底まで行ったところに、海の人魚の王さまが御殿をかまえています。その御殿の壁は、さんご﹅﹅﹅でできていて、ほそながく、さきのとがった窓は、すきとおったこはく﹅﹅﹅の窓でした。屋根は貝がらでふけていて、海の水がさしひきするにつれて、貝のふたは、ひとりでにあいたりしまったりします。これはなかなかうつくしいみものでした。なぜといって、一枚一枚の貝がらには、それひとつでも女王さまのかんむりのりっぱなそうしょくになるような、大きな真珠《しんじゅ》がはめてあるのでしたからね。

情報源: 人魚姫(人魚のひいさま ハンス・クリスティアン・アンデルセン作) – ノベル日和


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